ベトナム民話「百節の竹 Cây Tre Trăm Đốt」🎍 最後でスカッとするお話 

ベトナムのことを知りたい、これから移住したいと考えている方、ベトナムで広く読まれている昔話を読んでみませんか?

私が大好きなベトナムですが、住んでいると国民性の違いに戸惑うこともあります。

そんな時に役立つようベトナムの民話、「百節の竹 Cây Tre Trăm Đốt」を大好きベトナム語(私)が翻訳した日本語訳をご紹介したいと思います😊

おめでたい話で、ベトナムらしく、最後にどんでん返しが待っていて、ベトナム人が理想とする姿がよく表れていると思います。

民話「百節の竹Cây Tre Trăm Đốt」

・老主人が若者にうその約束そする

老人の豪邸は村の一番美しい場所にありました。ジャックフルーツの木の瓦ぶきの家は広々とした池がある庭がありました。 

金持ちの老人はたくさんのサギ師を住まわせており、人々は皆1日中苦労して働かなければならず、木が焼けるような暑さや、畑が水浸しになるような雨でも休ませてもらえません。

なのに、彼らは皆、お金を貰えないのです。

老人は搾り取るための策略があるからです。

金持ちの夫婦は子供がいませんでしたが、やっと一人の娘を授かりました。

今では娘は年頃になっていました。

家には健康で、男前なのにまだ妻のない使用人がおりました。

金持ちは知らないふりをして、

「一生懸命働きなさい。わしは娘をお前に嫁にやろう。」

使用人はもともと真面目でしたが、金持ちの甘い言葉を聞いて、急に老人の家の婿になる希望が湧きました。

その日から、若者は疲れを知らず、精一杯働きました。

夜も明けぬうちから起きて、水牛を促して田畑を鋤で耕しました。

昼間、若者は休むことも忘れ、鍬を担いで畑に出ます。

金持ちの広く広大な庭は若者に耕され、世話されて、木々はいつも青々としています。

夕方には暑さも雨にも恐れず、若者はなおも山に入り、重い薪を探し、担いで持ち帰ります。

夜になると、若者は上半身裸になって、稲を砕き、米をつきます。

主人から任された仕事がどんなに多くても、大変な困難がどれだけあっても、若者は全く恐れません。

金持ちは自分の謀り事がうまくいって、とても喜び、心の中でひそかに考えました。

「わしは棚ぼただわい!あいつは夢中で鋤で耕し、鍬で打っている。しかし、わしの娘は高貴の生まれだ。あいつみたいな身分の低い奴に、娘をやることなんかできんわい!」

間もなく老人は近くの村の金持ちの息子に娘を嫁がせることに受け入れました。

欲張りな老主人の命令

その家は良い日にちを選んで、結納の品を持って顔合わせに来ました。

若者は仕事に没頭していて、全く何も知りません。

金持ちは家の中のすべての者に、「籾のように静かに」させました。

誰も若者に一言も話す者はいません。

命令に背いた者は舌を切られてしまうのです。

若者はまったく何も疑わず、なおも仕事で大変な思いをし、金持ちの世話になるという希望を持っていました。

半月後、娘の婚礼の日になりました。

使用人に面倒な揉め事を起こさせないよう、また婚礼に間に合わせないようにする為、金持ちは若者を呼んで会いました。 

老主人が若者に竹を用意するよう告げる

老人は猫撫で声で若者に告げます。

「お前はわしを大いに満足させた。今日私は宴席を用意したぞ。

しかし、結納品がいるな。私は金も田畑もいらん。森に入って百個の節がある竹を選んで持って来い。それを結納品にする。もしなければ、私は他の奴に娘をやるからな。」

若者はそれを聞いてすぐに森に入って行きました。 

深い森に入ると、若者は高い竹の茂みを探し、切るために、押し進んでいきました。

しかし、竹を一本切るごとに若者は失望して行きました。 

ゆらゆらと高く見える竹であっても、どの竹も多くて、せいぜい40節どまり。

若者は数えても数えても、(どの竹も)そのぐらいが精一杯です。

けれども、若者はなおもがっかりすることなく、すぐにトゲの中に入って行こうとします。

そこは何代も昔から生えている古い竹やぶで枝や葉が一面に絡み合っているところでした。

若者は一心に切り、竹は若者によって稲の株のように切り倒されました。 

しかし、一番古い竹すべてを切り倒したのに、前の竹より何節か多いにすぎません。

あまりの悲しさに、若者は顔を覆って泣きました。

若者の泣く声が森の中の静まり返った空気をかき乱し、仏様の哀れみの心を動かしました。

仏陀の助け

竹林の中で泣いていた若者の前に仏陀が現れる

仏陀は姿を現してお尋ねになりました。「どうして、お前はここに座って泣いているのか?」若者は涙をぬぐって、これまでのことを、ずっと話し、仏陀に聞いてもらいました。

聞き終わると、仏陀は「もう泣くのではない。私に竹を100節切って運びなさい」とお告げになりました。

仏陀に言われた通り、若者は本当に美しい竹の節を選んで、100節以上の竹の節を切り、1箇所に集めて、なおも泣いて仏陀に言いました。

「金持ちの主人は100個の竹の節ではなく、100節ある竹を切るよう私に言ったんです。」

「心配するのではない。全てうまくいくだろう。」

そう話すと、仏陀は優しく若者の耳に告げました。

「そのまま、そのまま。ハック ニャップという2つの言葉をよく覚えておきなさい」

すると仏陀は消えておしまいになりました。

若者はすぐに100個の節を一列に並べると、「ハック ニャップ、ハック ニャップ」と叫びました。

なんと不思議なことに全ての竹がくっついて一本の竹のようになったのです。

仏陀に教えられた呪文によって、ようやく100節の竹を若者が手に入れました!

私はこのお話し全体の中で、仏陀が言った「全てうまくいくだろう」という言葉にホッ😂とします。困り果てていた、この若者も深い竹林の中で、温かい思いをしたことでしょうね😊。

 仏陀が教えてくれた呪文

若者は喜んで、急いで走って竹を運ぼうとしました。

しかし、若者は懸命に頑張っても竹を肩の上に載せることができません。

何時間もさんざん苦労して、若者はやむなくあきらめてしまいました。

そして立ったまま涙を払っていたのです。

仏陀は再び現れて尋ねました。

「どうして、お前はまだ泣いているのだ。」

「竹が長すぎて、どうやって肩に担いで家に帰れるでしょう。」

仏陀は若者に「ハックスアット」と何度か大きな声で言うよう告げました。

若者が言ったかと思うと、竹の節はひとりでにすぐ離れたのです。

若者はとても喜んで、急いで仏陀に手を合わせると、竹をまた並べて天秤に担ぎ、気も晴れ晴れと森を出たのです。

仏陀のおかげで、竹の節をくっつけたり、離したりできるようになった、若者は意気揚々と竹を持ち帰ります😊。

しかし、金持ちの主人は他の男性との娘の縁談を進めています💡若者は無事に金持ちの娘さんと結婚できるでしょうか🤔?

欲張りな主人せせら笑う

若者が家に戻ると、両家は宴会の真っ最中でした。

家の中はお客さんでワイワイ賑やかでした。

庭では料理の良い匂いがして、楽しそうにまな板で切る音がします。

誰も若者がいることに気づく者はいません。

宴席の前では花嫁と花婿が祖先の祭礼をしていました。

金持ちは心の中で

「わしの子は家柄が釣り合う家の嫁になる。花婿の男は十分な物を贈って来るだろう」と思いました。

使用人の若者は静かに100個の竹の節を担いで来て、庭の真ん中に置き、結納品を受け取るよう金持ちを呼びます。

「ご主人の言いつけ通り、私は100節の竹を切りました。私を結婚させて下さい。」

若者がもってきた竹の節をばかにして笑っている

金持ちは全く若者の言葉を聞こうとせず、なおも担いで来た竹の節を見て笑いこけました。

「わしはお前に100個の節がある竹を切るように言ったのが、100節切るようには言っておらん。全くぼーっとしているな」

花婿の家の者や花婿は一緒に笑って声を上げてそしりました。

「お前なんかが私たちの娘を嫁にすると?

竹の節を100節ではなく、言ったのは百節の竹なのに。なんてバカなんだ。 」

人々には言わせておいて、若者は担いできた竹に近づいて叫びました。

「ハックニャップ、ハックニャップ」。

百節の竹が仏陀の呪文のおかげで一本の竹になる

竹の節は順々にするりと束から離れていき、互いににくっつくと見上げるような高さの竹になりました。

やかましい笑い声はあっという間に止みました。

誰もがびっくり仰天し、首を伸ばして竹を見つめました。

金持ちは急いで走り、竹を離れさせようと揺すりました。 

若者が運んできた100個の竹の節を金持ちや花婿たちが馬鹿にして笑いますが、仏陀に教えられた呪文によって100節ある竹になります。さて、若者は結婚することができるでしょうか。

欲張りな主人懲らしめられる

しかし、召使いの若者は叫び続けます。

「ハックニャップ、ハックニャップ!」

するとたちまち金持ち金持ちの体は竹にくっついてしまいました。

老人は力を振り絞ってもがき、わあわあ叫びましたが、もがけばもがくほどしっかりとくっつきます。

老人の叫び声は両家の親戚を慌てて庭から走り出させました。

花婿は妻の父を離そうと最初に走っていきました。

しかし、金持ちにまだ触れないうちに、「ハックニャップ、ハックニャップ!」の召使の声が響き渡ります。

花婿はすぐに竹にくっつき、頭の上に金持ちを乗せてしまいました。

みんなは珍しいものを見ようと押し寄せ、「天に目あり。」とささやき合いました。

続いて花婿の父が慌てて息子をはずそうと一目散に行きましたが、同じようにくっついてしまいました。

竹はまるで生きているように回ったり、あちらにねじれたり、竹にくっついた人たちをその動きにつれて揺さぶりました。

続いて、両家の親戚たちがはずそうと行きましたが、同じようにくっつきました。 

結局、金持ちは仕方なく離してくれるよう頼み、娘を彼に嫁がせることを約束し、それ以上約束を破ることはしませんでした。

若者はそこで「ハックスアット」と叫びます。

たちまち(竹にくっついた)人々は竹から離れ、地面に落ちました。 

物見高い人々は誘い合って集まり、金持ちや花婿、親戚達が見上げるような竹の根元でかにのようにあちこちとはっているのを見て、お腹がよじれるほど笑いました。

みんな、腰が抜けて靴も履かず走っていったのです。

その後、花婿と親戚は結納品を返してもらい包んで帰りました。

ベトナムの民話 百節の竹🎍その6若者はついに、結婚できました
若者は金持ちの主人の娘と結婚しました!

結婚式は引き続いて盛大に行われました。

しかし、花婿は勤勉で辛苦を厭わない召使その人でした。

若者は夢見ていたような妻をめとり、幸せでした。

一方金持ちはいつも情けないと言いました。

すなわち、欲張りすぎて罰が当たったのです。 

まとめ

ベトナムらしい明るさに満ちた楽しいお話で、日本と同じように竹が縁起物のように使われ、結納品など、文化の共通点があるなあと思います。

先日まではベトナムの心がわかる!民話 ヒキガエルは天の神様🐸を翻訳してをご紹介しました。

次回はベトナムの心がわかる!「バーべー湖のお話」を翻訳します。

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